やうがない

牛の足を 見てゐたれば
足が痩せてゐた

重い車を 曳かせられて
痩せてゐるんだよ

可哀想で 可哀想で
しやうがない

重い車を 曳きながら
ぢーつと後《あと》を見た

仔牛に 逢ひたくて
後を見るんだよ

可哀想で 可哀想で
しやうがない


 舌切雀

舌切雀は
可愛い雀

たすきをかけて
お庭はきしてる

  サラリ サラ サラ
  サツサラリ
[#地付き](お庭をはく音)

舌切雀は
可愛い雀

おふろをたてて
おぢいさんを待つてた

  コント コト コト
  コンコトリ
[#地付き](おふろのわく音)

舌切雀は
可愛い雀

づきんをぬつて
おぢいさんにとどけた

  チツク チク チク
  チツ チクリ
[#地付き](おぬひものする針の音)


 駈けくら

駈けくらしませう
駈けくらしませう

お庭の中で
駈けくらしませう

負けると 泣くから
駄目だわよ

駈けくらしませう
駈けくらしませう

御門《ごもん》の外で
駈けくらしませう

転ぶと 泣くから
駄目だわよ

下駄ぬいで 泣くから
駄目だわよ


 沙の数(手まり唄)

一つこぼれた
沙の数 沙の数

百万五千と
かぞへました かぞへました

百万五千の
沙の数 沙の数

かぞへてみたさに
まゐりました まゐりました

二つこぼれた
沙の数 沙の数

かぞへきれずに
帰りました 帰りました


 乙鳥の姉さん

あかい紅《べに》渡せ
お猪口《ちよこ》で渡せ

乙鳥《つばめ》の姉さん
あかい紅渡せ

お手手をお出し
お猪口で渡そ

お手手を出した
あかい紅渡せ

あかい紅渡そ
お猪口で渡そ

乙鳥の姉さん
あかい紅渡せ


 とんび

鳶《とんび》が 輪をかいた
    ぴーヨロぴー

油屋の屋根へ来て
    ぴーヨロぴー

豆腐屋の屋根へ来て
    ぴーヨロぴー

鳶が 屋根へ来た
    ぴーヨロぴー

油屋の 油壺
    ぴーヨロぴー

豆腐屋の 揚豆腐
    ぴーヨロぴー


 朝鮮飴や

朝鮮飴やは
   飴トロリ

子供に飴売つて
   飴トロリ

トロリ トロリ
   飴トロリ

トロトロとろける
   飴トロリ

子供が飴買つて
   飴トロリ

トロリ トロリ
   飴トロリ


 三日月さん

山の上の 三日月さんは
細いこと

柳の葉よりも
細いこ
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