風鈴さんは
かはいさう
ちんちん鳴つても
いつまで鳴つても
子供も大人も
だまつてる
お歳は二つ
お歳は二つ
おりこうな児だよ
お母《つか》さん
見ると
おいで おいでしてる
わんわを
見ると
ハイチヤ ハイチヤしてる
おりこうな児だよ
お歳は二つ
おもちやの
人形に
おいで おいでしてる
お庭の
雀に
ハイチヤ ハイチヤしてる
波がざんぶりこ
渚にざんぶりこ
波がざんぶりこ
千鳥が逃げた
千鳥が逃げた
波がざんぶりこ
ほーら 逃げた
とつとと逃げた
波がざんぶりこ
磯にもざんぶりこ
波がざんぶりこ
子蟹が逃げた
子蟹が逃げた
波がざんぶりこ
ほーら 逃げた
ちよろちよろ逃げた
波がざんぶりこ
蟻と砂糖
見せよう
見せよう
蟻に砂糖見せよう
蟻に砂糖見せると
行列つくつて
なめに来る
隠そ
隠そ
蟻に砂糖かくそ
蟻に砂糖見せると
なめに来るから
隠そ
五つの指
おとしは
いくつ
一本
指出した
おやおや
ひとつ
三本
指出した
ほんとは
いくつ
四本《しほん》
指出した
ほんとに
いくつ
みんな
指出した
牧場の仔牛
雨の降る日は
親牛に
仔牛はだかれて
ねんねしてる
桶から水飲んで
草食べて
眼々あいて仔牛は
ねんねしてる
雨の降る日は
永いこと
牧場の日ぐれは
遅いこと
雨々 もつと降れ
雨こんこ
仔牛はだかれて
ねんねしてる
ねむりぐさ
日暮れにや
ならぬ
まだ日は
高い
ねむりぐさ
下つた
眠るにや
早い
はたけの
中へ
ねむりぐさ
捨てよ
ねむりぐさ
とりに
灯とり虫ヤ
来てる
おぼろお月さん
おぼろお月さん
歳ヤいくつ
十《とを》と六つ寝りや
十と六つ
おぼろお月さん
歳ヤいくつ
十と三つ寝りや
十と三つ
十三七つにや
まだ遠い
おぼろお月さん
十と一つ
底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
1986(昭和61)年3月25日初版第1刷
1996(平成8)年5月31日初版第2刷
底本の親本:「青い眼の人形」金の星社
1924(大正13)年6月発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加
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