よつぴよこ》と
次郎作どん家の 鶏雛と
木小屋さ あがつて
ゐたんだぞ。


 だまされ太郎作

鼻黒鼬
『太郎作《たろさく》どんてば 太郎作どん
留守番すべから 往つてごぜえ

だまされ太郎作
『たしかに 留守番
たのんだぞ

太郎作|家《げえ》の鶏の子
『鼬奴 来たらば
なじよにしべえ

鶏の親父
『厩《うまや》の前《めい》ちよで
遊んでろ

鼻黒鼬
『うまいぞ 雛鶏《ぴよつぴよこ》 追つかけべえ
太郎作ア来たても話すなヨ

鼻黒鼬の子供
『親父《とつ》さん 己《おい》らも
追つかけらア

柿の木の上の雀
『己らは なんにも
知んねえぞ

厩の馬
『己らも なんにも
知んねえぞ

背戸籔のみそさざい
『雛鶏ア追はれて逃げたつけ
尻餅つきつき逃げたつけ

井戸端の釣瓶
『太郎作どんてば戻らつせえ
この事 見たらば腰ア抜けべ。



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 郷土の人と土とに親みの多い二三の方言が、本書童謡中にとりいれてあります。たとへば、「背戸」(第一頁其他)とは家の裏のことです。「てつこ盛つた」(一四五頁)とは、山盛りに盛つたと云ふ意味です。又「雪降り小女郎」(一五五頁)とは、東京
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