しは この世の
すたれ者
君ゆゑ わたしは
すたれ者
ほのかに ほのかに
かなしくて
熱い 涙が
落ちて来る
[#1字下げ]昔の月[#「昔の月」は中見出し]
お前と逢うた
武蔵野に
青い 昔の 月が出た
お前も 見たろ
武蔵野の
畑の中に家が建つ
畑の 中の 夕雲雀
もう おれは
故郷《くに》へ 帰るぞよ
[#1字下げ]馬鈴薯[#「馬鈴薯」は中見出し]
白い花咲く
馬鈴薯《じやがたらいも》よ
月の出た夜は
畑の中で
月のない夜は
馬鈴薯よ
どうか誰にも
言はずにお呉れ
[#1字下げ]霜夜[#「霜夜」は中見出し]
ギターで 唄ひませうよ
わかれの歌を
共に 涙で
唄ひませうよ
寒い 霜夜の
霜枯れ空に
お星さまさへ
ふるへて見える
さあさ唄ひませうよ
涙で共に
君とわかれの
かなしい歌を。
[#1字下げ]新開田[#「新開田」は中見出し]
今朝も 鶉が
新開田で
啼いた
鶉恋しい
畑の鶉
可愛男の
新開田で
啼いた。
[#1字下げ]梭の音[#「梭の音」は中見出し]
矢車草の 咲く村で
日の暮れ頃だと思やんせ
トントン カ
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