見えず
窓を ノツクする
暴風《あらし》よ 雨よ
明日《あす》の夜明が
またれてならぬ
[#1字下げ]島の古巣[#「島の古巣」は大見出し]
海が暮れたら
浜辺へ 帰れ
風が吹くから
海燕《うみつばくら》よ
浜が暮れたら
古巣へ 帰れ
風に吹かれる
海燕よ
[#1字下げ]難波の鴎[#「難波の鴎」は大見出し]
風は どこへ吹く
難波《なんば》の河か
鴎 とりたい
難波の鴎
夜は どこへ寝る
難波の橋か
鴎 難波の
可愛いの鳥よ
[#1字下げ]若葉の月[#「若葉の月」は大見出し]
君の姿はいつ見ても
若葉の 月の
みづみづし
あまりに あまりに
みづみづし
君の言葉は 沙原の
沙の月より
なほおぼろ
あまりに あまりに
なほおぼろ
[#1字下げ]同じ国なら[#「同じ国なら」は大見出し]
同じ国なら
故郷の人か
聞いただけでも
なつかしう思ふ
今の 今まで
忘れてゐたが
村の娘で
わしやゐた頃よ
思ひ出したぞ
涙の種を
[#1字下げ]花は赤いし[#「花は赤いし」は大見出し]
花は紅《あか》いし
歌ほよ歌ほ
踊 をどろよ
社交ダンスをどろ
振ろかカスタネツト
カツタカタノタツと
たたこタンボリン
シヤシヤンガシヤンと
踊 をどろよ
火の酒飲もよ
[#1字下げ]わたしや黒猫[#「わたしや黒猫」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]
わたしや黒猫
闇夜がすきよ
寒いロシヤへ
渡ろか 行《ゆ》こか
行こよロシヤの
雪降る国へ
身まで売られた
わしや黒猫よ
[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]
風は 吹く吹く
港の沖に
寒いロシヤの
国吹く風よ
行こよ明日《あした》は
ロシヤの国へ
どうせ売られた
わしや黒猫よ
[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]
鳥は空飛ぶ
空飛ぶ鳥よ
つれて行かぬか
ロシヤの国へ
ロシヤは恋しい
火を吐く国か
たよりすくない
わしや黒猫よ
[#1字下げ]薔薇の花さへ[#「薔薇の花さへ」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「
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