し]

死ぬも生きるも
    ねーお前
水の流れに
    何に変《かは》ろ

おれもお前も
    利根川の
船の船頭で
    暮らさうよ

[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]

枯れた真菰《まこも》に
    照らしてる
潮来出島《いたこでじま》の
    お月さん

わたしやこれから
    利根川の
船の船頭で
    暮らすのよ

[#2字下げ]四[#「四」は中見出し]

なぜに冷たい
    吹く風が
枯れたすすきの
    二人ゆゑ

熱い涙の
    出たときは
汲んでお呉れよ
    お月さん

[#2字下げ]五[#「五」は中見出し]

どうせ二人は
    この世では
花の咲かない
    枯れすすき

水を枕に
    利根川の
船の船頭で
    暮らさうよ


[#1字下げ]江戸祭歌[#「江戸祭歌」は大見出し]

江戸の生粋《きつすゐ》
    神田の市場
わたしや神田の
    唄人《うたうど》よ 唄人よ
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

三|天王《てんわう》の
    氏神様は
今日のお土産《みやげ》
    笹団子 笹団子
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

遠い昔が
    しのばるる
神田|五個町《ごかまち》
    江戸祭 江戸祭
  江戸祭 ヨイヨイヨイ

[#ここから4字下げ]
(江戸祭歌は神田明神祭礼のための作である)
[#ここで字下げ終わり]


[#1字下げ]故郷の歌[#「故郷の歌」は大見出し]

歌へ恋しき
    故郷の歌を
三田はなつかし
    第二の故郷
  足でどんと踏んでどんと歌へ

風も嵐も
    三田よと吹くに
遙に遠き
    暁天星《かはたれぼし》よ
  足でどんと踏んでどんと歌へ

三田と聞くさへ
    尚なつかしに
三田の競走部は
    雄々しい姿
  足でどんと踏んでどんと歌へ

[#ここから4字下げ]
(故郷の歌は慶応大学競走部のために作りし応援歌である)
[#ここで字下げ終わり]


[#1字下げ]霧ヶ岳から[#「霧ヶ岳から」は大見出し]

霧ヶ岳から
    朝立つ霧よ
霧を見てさへ
    父母《ちちはは》さまを
思ひ出されて
    どうもならぬ

故郷恋しい
    あの山蔭の
霧は消えても
    父母さまを
思ひ出されて
    どうもならぬ

[#ここから4字下げ]
(霧ヶ
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