やう》立てましよと
泣いて別れた 小室《こむろ》の
小笹《こざさ》
裏戸覗いて 裏から
帰る
紺の前掛 麻裏草履
[#1字下げ]芒の葉[#「芒の葉」は大見出し]
「死なば共だ」と
新吉《しんきち》さんは
裏の お玉坊と
畑で泣いた
ウンニヤ 新吉さんは
小指の先を
細い芒《すすき》の
葉で切りました
裏の お玉坊も
泣き泣き指を
共に芒の
葉で切りました
[#1字下げ]恋の日[#「恋の日」は大見出し]
春の名残《なごり》の
暮るる日に
紅き花さへ
惜《をし》みたり
夕べ 畑で
恋人を
待ちしも
今は昔なり
夏のをはりに
露草《つゆぐさ》の
白き花さへ
惜みたり
河原の岸で
恋人と
泣きしも
今は昔なり
[#1字下げ]西瓜畑[#「西瓜畑」は大見出し]
西瓜畑《すゐくわばたけ》さ
お月さま出てる
そろりそろりと
お月さま出てる
土をたたいたら
どしんこ響いた
姉も妹《いもと》も
おさらば さらば
[#1字下げ]旅で暮らせば[#「旅で暮らせば」は大見出し]
旅で暮らせば
茅野《かやの》の
雨も
さらり さらりと
身にしみる
さらり さらりと
茅野の
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