黄金の甕
野口雨情
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お譚《はなし》は
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このお譚《はなし》は、わたしが少年の頃に、安寧寺と云ふお寺の和尚さんから聞いたお譚です。和尚さんは、いいか、この譚のもとは、この村に、幾百年だか判らないほど古くから言ひ伝へてあつた譚ぢや、忘れずにゐてくれ――と、斯う云つて話されたのです。
それ、ここから見えるあの田甫《たんぼ》ぢや、あれが、この村の開けないずつと往昔《むかし》は一面の沼だつたのぢや、蘆《あし》や蒲《かば》が生え茂つてゐて、鳰《にほ》だの鴨だのが沢山ゐたもんぢや。今学校のある丘の上には、長鍬の長者と云ふ田が千町、畑が千町、山が千町合せて三千町の土地を持つた豪《えら》い長者が住んでをつたのぢや。
ある日、長者が櫓《やぐら》へあがつて沼の中を見渡すと、沼の中には一羽の白鳥が餌をあさつてゐたのぢや。長者は、急にその白鳥がほしくなつて、下僕《しもべ》にいひつけて射らせたのぢや。矢は白鳥にあたつて白鳥は死んで了つたのぢやが、
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