は『何処《どこ》へ行くか見とどけてやらう』と後からついて行つたのぢや。一ツ目小僧は、

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藤右衛門どんよ ここだ ここだ
ざんぶりこ ざんぶりこ
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と、ぎよろツと藤右衛門の方を睨めて消えて了つたぢや。藤右衛門は不思議に思つて其処へ行つて見ると、黄金《こがね》の甕が今にも川へ落ちさうになつてあつたのぢや。
 和尚さんは、話し終つて『黄金の甕が、永い歳月《としつき》のうちに川へ落ちさうになつたので、一ツ目小僧に化けて人に知らせたのぢや。いいか、判つたか』
と念を押して云はれたのです。



底本:「定本 野口雨情 第六巻」未來社
   1986(昭和61)年9月25日第1版第1刷発行
初出:「小学男生」
   1921(大正10)年8月号
入力:林 幸雄
校正:今井忠夫
2003年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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