のきばすずめ
野口雨情
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【テキスト中に現れる記号について】
《》：ルビ
（例）金雀枝《えにしだ》
［＃］：入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
（例）［＃１字下げ］金雀枝［＃「金雀枝」は大見出し］
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［＃１字下げ］金雀枝［＃「金雀枝」は大見出し］
金雀枝《えにしだ》の
花咲く頃は
ほととぎすが啼く ほととぎすが啼く
故郷《ふるさと》の森の中にも
もう 金雀枝の花咲く頃か
ほととぎすが啼く ほととぎすが啼く
［＃１字下げ］青い芒［＃「青い芒」は大見出し］
青いすすきに
螢の虫は
夜の細道 夜の細道 通《かよ》て来る
細いすすきの姿が可愛ネ
細い姿にこがれた螢ネ
夏の短い
夜は明け易や
夜明け頃まで 夜明け頃まで 通て来る
夜明け頃なら
ちらちらお星や
夜明け星なら 夜明け星なら ちらちらと
通《かよ》ちや来なされすすきの蔭にヨ
すすきア姿は細くて可愛ヨ
夏の一夜《いちや》の
仮寝《かりね》の夢も
寝ずに通へば 寝ずに通へば 夜は長い
［＃１字下げ］蜻蛉釣り［＃「蜻蛉釣り」は大見出し］
烏ア帰るに
日は暮れゆくに
ササドンドン
蜻蛉《とんぼ》釣りでもしてるかよ
蜻蛉ア姉《あね》さん
小松の蔭を
ササドンドン
連れ衆たづねて飛んで来る
連れ衆釣るなよ
日は暮れゆくに
ササドンドン
暮れりや蜻蛉も松に寝る
［＃１字下げ］軒端雀［＃「軒端雀」は大見出し］
軒端《のきば》で雀の
言ふことにや
窓から手紙を
ちよいと投げりや
ちよいと見て袂に
ちよいと入れた
アララのラ
アララのラ
お母《つか》さんは知らない
アララのラ
お父《とつ》さんも知らない
アララのラ
［＃１字下げ］下総のお吉［＃「下総のお吉」は大見出し］
去年別れた
下総《しもふさ》の
お吉《きち》は
今も ゐるだろか
浮草の
花かと聞けば
浮草の
花だと泣いた
下総の
お吉は
今も ゐるだろか
俺を待ち待ち
下総に
嫁にゆかずに
ゐるだろか
［＃１字下げ］みなと［＃「みなと」は大見出し］
山が晴《はれ》れば
母《かか》やんよ 母やんよ
アレサ港に 風が吹く
風
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