わたしのお友達が此方《こつち》を見ながら大きな声でうたつてゐるから御覧なさい』と、子兎がつね子さんに云ひました。つね子さんが耳をすまして聞きますと、
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つね子さん ありがたう
赤い草履《ぞんぞ》 ありがたう
つね子さん ありがたう
赤い簪《かんざし》 ありがたう
お月さんの国へ
遊びにおいで
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と、お月さまの中で大勢の子兎がうたつてゐる唄が、ほんたうに微《かすか》に聞えました。
底本:「定本 野口雨情 第六巻」未來社
1986(昭和61)年9月25日第1版第1刷発行
初出:「小学女生」
1921(大正10)年9月号
入力:林 幸雄
校正:今井忠夫
2003年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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