居るのであります。こゝに一つ其例を擧げて見ますと、昔から日本には相傳の學説ともなり、一種の信仰ともなつた事に妙なことがあります。それは改元する――年號を改めるに就て、一つの重大なる事柄としてある革命といふことであります。字は今日の革命思想などいふ革命でありますが、意味は一寸違つて居ります。天地間の運數を考へてどういふ時には革命の氣運が來るといふ學説で、これは漢以來行はれてゐる緯書の説から出たものであります、殊に易緯といふものから出たので、すべて天地間のことを周易の革卦から割り出し、五行の運數、干支などで判斷した考であります。それを日本で應用し始めたのは菅公時代の三善清行といふ人で辛酉革命、甲子革令といふことを申したのであります。その辛酉の年といふのは六十年目毎に※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つてくるわけですが、その時は天地革命の運數に當つてゐるのであるから、年號を改めて、天子とか大臣とか言ふ者は非常に注意しなければならぬといふので、此の六十年の二十二倍の年數を一蔀といふのである、それで神武天皇即位紀元の辛酉から齊明天皇の六年庚申までを一蔀完終として居る。辛酉から三年經つと甲
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