校正したが、その他の專門學に屬するものは、歩兵校尉任宏が兵書を校正し、太史令尹咸が數術を、侍醫李柱國が方技を校正することになり、さうして一書の校正の終る毎に、劉向がそれに篇目を分ち附け、その本の趣意の大要を撮り、そのことを別に書き、それを天子に上つた。それが劉向の別録である。
 この別録が今日殘つて居れば、大いに有益であらうが、不幸にして早く散佚した。今日では、この別録の一部分ともいふべきものは、戰國策・晏子春秋・列子などの書に附いてゐる。その校正の仕方は、必ずしも劉向一人の力によつたのではないやうである。諸所にある本を集めて校正した。第一は内府にある本、即ち中祕の本、これに劉向自身の本、他人所有の本などの多數の本を集めて一一校正した。戰國策に附いてゐる別録の文を見ると、どういふ風に校正したかが分る。即ち文字の異同を校正したことが見える。又晏子春秋の別録を見ると、向が當時校正をするに際し、從來の書で編輯の工合の亂雜になつてゐるものは、彼の考で一一新たに正して分類したことを書き、その分類の仕方を擧げてゐる。さうしてその校正が終ると、皆「殺青す、書繕寫すべし」と書いてある。殺青すといふのは
前へ 次へ
全111ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
内藤 湖南 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング