は採用されなかつた。しかし隋史で書籍の内容に關する目録が出來るとともに、編纂の主義より來る分類が唐初に考へられたことは、目録學上參考すべきことである。

       日本國現在書目録

 支那でこの次に來るのは舊唐書の經籍志であるが、この前に、日本の本でちやうど隋唐兩志の間に出來た日本國現在書目録がある。藤原佐世の撰で、宇多天皇の寛平年間に出來たものの如くである。これは、從來日本で支那の書籍を輸入して居り、そして朝廷の藏書は多く冷然院にあつたらしいが、これが火災に遭つて燒けた。その後再び集めて、この目録が出來たのである。冷然院は火を忌んで冷泉院と改稱した。これは目録學としては、何等取るべき所のないもので、大體は隋書經籍志の分類によつてゐる。舊唐書の經籍志も多く隋志によつてゐるが、分類の内容は變つてゐる。然るに日本國現在書目録は、實際の分類の仕方まで隋志と同じである。舊唐書經籍志は、玄宗時代の古今書録によつて書いたもので、古今書録は見在書目録以前のものであるが、佐世はこの分類は取らなかつたのである。これに載つてゐる本の名を見て、隋志と舊唐志との間にある本を知るためには必要のものであるが
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