内史、外史、御史であります、然うして其の職務の細目を擧げて居ります。
 第一、大史と云ふものゝ職務に就ては、邦の法典を掌る、邦と申しますと天子の直領です、官府の治め方の法を掌る、都鄙の治め方の規則を掌ると云ふことになつて居りますが、其の中に邦國、都鄙及び人民の約束に關係した書類を藏ひ込んで居つて、六官即ち天官より冬官までの六官でありますが、其の六官の書類の副本を取つて置くと云ふことが書いてあります、若し其の約束に就て訴訟のやうな事があつて調べなければならぬことがあると、大史は庫を啓いてそれと引合せる、然うしてそれに合はないと罰する、斯ういふことを書いてある、詰り人民の約束、裁判事件に關係したやうな書類を藏つて置く、それが一つの大事な職務になつて居ります。
 それからモウ一つは暦の事を掌る。又暦を頒つ事、夫から暦に因つて王の職務の年中行事がありまして、日本でも昔朝廷には年中行事がありましたが、其の年中行事の規定に依つて王の動作を大史が差圖をするのであります、大祭祀のあります時は、祭の執事者と日を卜ひ、又祭の次第書、――「禮書」と書いてありますが、次第書を讀んで其の事柄の順序を立てる、祭の日には亦其の祭のプログラムの書いた物を持つて然うして人々の位置や何かを極める。
 それから其次に王の職務として諸侯を會同朝覲せしめる事がありますが、諸侯が會同して來た時には、矢張り書付を土臺として其の禮の事をして始末を合せる、贈物をする時にも其の次第書を書いた物を以て王に其の次第を皆告げる。
 それから大きな軍さのありました時には、當時に大師と申しまして盲人で以て種々澤山物を覺えて居つて、「語部」の役をやつて居る官がありましたが、これが王の顧問官になる者であります、大史も其の盲人と一緒に車に乘つて王の顧問官になつて天文のことに關係した事を述べる、夫から國が遷る時、周も長安附近の地方に居つたのが洛陽の方に遷りましたが、然ういふやうに國の遷る事がありますと、其の遷り方に關する法書を持つて王の先きに行く、大きな喪の事がある時には喪の次第を書いたものを持て然うして務める、それから誄詞をやる事なども大史が勤める、夫から小さい喪、諸侯以下の喪、公卿大夫の喪になりますと、天子から諡を賜ふといふ職務を大史が勤める。
 其外に周の時には射禮を重じました、大射禮も小射禮もありますが、其の時に「飾レ[#「レ
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