、第3水準1−14−84、44−15]といふやうに判斷の方法が増加されてゐる。而して貞の字の如き現在の易では既に洪範の筮法の意味を失つてゐるのである。一體貞の字は勿論のこと、筮に關係した占とか卦とかの字は總て卜の字に從ふてゐるのであつて、悔の字の如きも本來は※[#「毎+卜」、44−17]と書いて矢張り卜の意味を含んでゐる。殊に貞の字は説文によつても、或は現存の龜板文によつても、卜問の意味の字なので、これは卜法に用ゐられた時の原義であるが、易に於ては之を正若しくは貞固の意味に變じ、元亨利貞の四字を四徳とさへも解するやうになつてゐる。元亨利貞を四徳と解すべきや否やは既に歐陽修も疑問を挾んだのであつて、象傳では元の字は上に附いて乾元・坤元といふ語に組立てられてゐるのに、文言では四徳と解してゐるのは如何したものかと恠しんでゐる。其上猶疑問となるのは利貞といふことである。これは恐らく本來は卜問者に利ありといふ意味であつたのが、後になつて其意味が變化し、貞を正と解し、正しきに利しと訓み、更に各々獨立して四徳の一となつたものらしい。以上のやうな點からして、元來卜法に用ゐられた文字を、後に筮法が卜法の
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