法然行伝
中里介山
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)美作《みまさか》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)式部太郎|源《みなもと》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「りっしんべん+喬」、第3水準1−84−61]
[#…]:返り点
(例)以[#二]念仏心[#一]
−−
一
法然上人は美作《みまさか》の国、久米《くめ》の南条稲岡庄《なんじょういなおかのしょう》の人である。父は久米の押領使《おうりょうし》、漆《うるま》の時国《ときくに》、母は秦氏《はたし》である。子の無いことを歎いて夫婦が心を一つにして仏神に祈りをした。母の秦氏が夢に剃刀《かみそり》を呑むと見て身ごもりをした。父の時国が云うのに、
お前が孕《はら》める処定めてこれは男の子であって一朝の戒師となる程の者に相違ないと。
母の秦氏は心が柔和で、身に苦しみがない。堅く酒肉五辛を断って三宝《さんぽう》に帰する心が深かった。
遂に崇徳院《すとく
次へ
全150ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング