読まないよりは読む方がよろしい。
(問)六斎ににら[#「にら」に傍点]やひる[#「ひる」に傍点]を食べるのはどうですか。
(答)食べない方がようございます。
(問)破戒の僧、愚癡の僧を供養するのも功徳でございますか。
(答)破戒の僧、愚癡の僧も末の世には仏の如く尊むことになっている。
[#ここで字下げ終わり]

       二十三

 或人がまた往生の用心に就て、条々の不審を尋ねた時に、上人の返事のうちに、
「足なえ腰いたるものの。とおき道をあゆまんと。おもわんに。かなわねば船車にのりてやすく行くこと。これわがちからにあらず。乗物のちからなれば他力なり。あさましき悪世の凡夫《ぼんぷ》の。諂曲《てんごく》の心にて。かまえつくりたるのり物にだにも。かかる他力あり。まして五劫《ごこう》のあいだ。思食《おぼしめ》しさだめたる。本願他力の船いかだにのりなば。生死の海をわたらん事。うたがい思食すべからず」
「魚鳥に七箇日の忌の候《そうろう》なる事。さもや候らん。えみ及ばず候。地体はいきとしいけるものは。過去の父母にて候なれば。くうべき事にては候わず。又臨終には。酒魚鳥|葱《そう》薤《かい》蒜《ひ
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