つとむべしと云ふことを
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あみだ仏といふより外は津の国の
  なにはのこともあしかりぬべし
極楽へつとめてはやくいでたたば
  身のをはりにはまゐりつきなん
阿弥陀仏と心は西にうつせみの
  もぬけはてたる声ぞすずしき
   光明遍照十方世界念仏衆生摂取不捨の心を
月影のいたらぬ里はなけれども
  ながむる人のこころにぞすむ
   三心の中の至誠心の心を
往生はよにやすけれとみな人の
  まことのこころなくてこそせね
   睡眠の時十念を唱べしと云ふ事を
阿弥陀仏と十声唱へてまどろまん
  ながきねぶりになりもこそすれ
   上人てづから書付給へける
千とせふる小松のもとをすみかにて
  無量寿仏のむかへをぞまつ
おぼつかなたれかいひけんこまつとは
  雲をささふるたかまつの枝
池の水人の心に似たりけり
  にごりすむことさだめなければ
むまれてはまづ思ひいでんふるさとに
  契し友のふかきまことを
阿弥陀仏と申すばかりをつとめにて
  浄土の荘厳見るぞうれしき
 元久二年十二月八日       源空
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       三十一

 かくて法
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