バクチがあるが、行ってみる気はねえか」
「そいつは耳寄りですねえ」
と言って、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百が、耳から先に、関守氏の膝元へ摺《す》りつけて行きました。
普通の青年ならば、バクチなどという言葉を聞いてさえ苦々しく思うのですが、そこは、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百ちゃんのことですから、それと聞くや、耳よりだと言って身体《からだ》を摺りつけたのは浅ましいものです。それと知りながら、浅ましい心に誘惑をかけた不破氏の挙動も、断じて君子の振舞でないと言わなければなりますまい。
「行ってみな、お前は今まで関東のバクチは相当に功を積んでいるとのことだが、こっちの方の大バクチは見たことがあるまいから、後学のために見て置きなせえ」
「有難い仕合せ」
ますますよくないたくらみです。後学のためにも、前学のためにも、バクチなどは見学して置かなくてもよろしい。むしろ、そういう見学は避けた方がよろしい、避けしめるのが、先輩のつとめというものだが、ここで嗾《けしか》けるようなことを言う関守氏は、その言葉つきからしてわざと下品に砕けて、
「行くなら行ってみな、資本《もとで》としてはたん
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