らないのですか、帰りたく思いませんか」
「帰らないと断言はできないねえ。しかし、ここまで乗り出して来た以上は、こっちで相当成功して、向うの妻子をこっちへ呼び寄せたいという希望の方が先だねえ。だから、この無人島が永住の地だとも思っていないよ、ここへ足がかりが出来たら、この先の方には大陸があって、そこには日本よりも何倍も開けた国があるのだから、そっちへ行って、第二の山田長政となることも愉快だと思っている」
「僕も、そういうことを考えています、僕はそんな開けた国よりも野蛮人のウンといるところへ行って、そいつらをみんな征服して、王になりたいです、こんな無人島では物足りないです」
こんな話をしていたが、やがて、むっくりと跳び起き、裸のままで二人は椰子林の中を歩き、己《おの》れの小屋へと帰りに向ったが、椰子の林の中のとある木蔭に、小さな人影が一つ、うずくまっているのを見ました。
「ああ、金椎だ」
と言って、二人は遠のいて避けて通るようにしましたけれども、避けなかったところで、相手は気がつくはずもなかったのです。
「相変らず、イエス・キリストを信じているよ」
と田山白雲が言いますと、柳田平治が、
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