えた三下奴――
「爺《とっ》つぁん、お前《めえ》も下っぱの方へ坐りな」
信州から来た木曾の藤爺《ふじじい》さんを、下っぱに押据えて、木口勘兵衛尉源丁馬が傲然《ごうぜん》として正座に構えたところを見ると、さすがの鐚も悲鳴をあげ、
「トテモ受けきれねえ」
と言って、逃げ出してしまいました。
下駄をひっ提《さ》げて、溝板のところをほうほうの体《てい》で逃げ出した鐚助――
「どうもはや、木口勘兵衛ときては、さしもの鐚も受けきれねえよ、あいつ、イカモノ作りの四国猿のくせに、いやにアブク銭の銭廻りがいいもんだから、トカク銭の力で、八方|袖《そで》の下撫斬流《したなでぎりりゅう》と来るから受けきれねえ」
七十七
勝安房守が二条城で任官して後のこと、近藤勇と、土方歳三の二人が、慷慨淋漓《こうがいりんり》として、二条城の天主台の上に立って、洛中洛外の大観を見澄ましておりましたが、やがて近藤が言うことには、
「どうだ、土方、おれに十万石を与えれば、ここにいて天下を定めてしまうが、あったら城に主がないなあ」
そうすると、土方がこれに答えて、
「あえて十万石とは言わない、五千の兵
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