かみそ》へつけさせて食べてみますと、どうしても秋茄子の味でございますから、これは只事ではねえぞ、さあ村の人たちよ、饑饉年が来るから用心しなさいと言って、その晩、夜どおし触書《ふれがき》をつくって諸方へ廻して、皆の者に勧めることには、明地《あきち》や空地《くうち》は勿論のこと、木棉《わた》を植えた畑をつぶしてもいいから、作《さく》をつくりなさい、蕎麦《そば》、大根、蕪菁《かぶら》、にんじんなどをたくさんお作りなさい、粟《あわ》、稗《ひえ》、大豆などは勿論のこと、すべて食料になるものは念を入れてお作りなさいとすすめ、御自分では、穀物の売物があると聞くと、なんでもかまわず、ドシドシ買入れ、お金が尽きた時は、貸金の証文までも抵当に入れてお金を借入れ、それで穀物を買い、人にもそのようにおすすめになりましたが、なにをそんなに二宮様がおあわてなさる、と本気にしなかったものもあるでございましたが、先生を信仰する人は、おっしゃる通りにやって、大助かりに助かったそうでございます。
なかには二宮先生の、そのお触書を見て、直ぐに馬に乗って先生をおたずねして、その仕方を丹念に聞き取ってから、村々をお諭《さと》
前へ
次へ
全386ページ中353ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング