隊さんだが、渡り者の寄集め、いざという時、役に立てばいいが、と冷笑して、さて、増上寺の参詣も無事に済ませて、山門を出て見ると、今度は赤羽橋の方から息を切って飛んで来る裸男。褌《ふんどし》一つで木刀を一本、その真中に状箱を結《ゆわ》いつけたのを肩にかついでいる。そのせかせかとする息の合間に、時々大声でわめいて来る。主膳とすれ違った時に、耳を澄ましてみると、
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ここから江戸まで三百里、裸で道中がなるものか、なるかならぬか、やって来た、一貫占めたか、セイゴどん、しゃか、しゃか
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 何のことだかわからない。すれちがってしまってから、また振返ると、
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ここから江戸まで三百里、裸で道中がなるものか、なるかならぬか、やってきた、一貫占めたか、セイゴどん、しゃか、しゃか
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「何だい、あれは」
「薩摩飛脚でござんしょう」
 ナニ、薩摩、その薩摩がどうした、憎い奴だ。
 このごろ、江戸の市中の火附強盗の帳元は、皆その薩摩の為《な》す業だと言っている。この増上寺に近いところに、その市中の山賊強盗の巣、薩摩屋敷があるは
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