り揃《そろ》えたものだ、この点、また少々感心ものだと見ていると、
「もとはみんなお陸尺《ろくしゃく》のがえん[#「がえん」に傍点]者なんですが、ああして見ると立派な兵隊さんでござんすねえ、馬子にも衣裳とはよく言ったもので――」
 言わないことか、六尺と陸尺との混線だ、すなわちこれは、このごろ江戸の市中に溢れていた諸国諸大名の陸尺、即ち籠舁《かごかき》の人足の転向だ。
 諸大名お抱えの陸尺は、体格抜群のものを選《え》りに選り、各大名屋敷が自慢で養って置いたが、このごろ、諸大名の参覲交代《さんきんこうたい》が御免になって、奥方を初め、江戸住居を引上げて国へ帰れるようになってから、この陸尺が失業した、アブれてみるとロクなことはしない、盛り場をユスったり、見世物をコワしたり、良家へ因縁をつけてみたり、手に負えないところを幕府の陸軍頭が買込んで、浜から千人、こちらから千人、それに洋服を着せて団袋《だんぶくろ》をはかせてみると、見かけはこの通り堂々たる国家の干城《かんじょう》、これを称して六尺豊かの兵隊さんとは誰が洒落《しゃれ》た。
 それを見送った神尾は、なるほど、見かけだけは立派に六尺豊かの兵
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