べて、まだお腹がすくのかい」
「はい、はい、それでも直ぐにお腹がすいてしまいますが、意地にも我慢ができないのでございますよ」
斯様《かよう》に話をしている間に、釜の中がフツフツと沸騰をはじめて参りました。この時、竜之助がフト考えるよう、
「婆さん、釜が沸いてきたようだが、米はどうなんだい、釜ばかり仕掛けても、中へ入れるお米というものがあるのかい」
「はい、はい、お釜一つでさえ、この通り重いものでござんすから、とても、この中へ入れて炊くお米まで持って歩くわけには参りませぬ」
「冗談を言ってはいけない、食べるためには、釜よりは米がさきだぜ、米が有っても釜がないという時には、何とか遣繰《やりく》りはつくだろうが、釜がこの通りグラグラ沸き出しているのに、米がないでは、食べて行けないじゃないか」
「いえいえ、お米ばかりが食物ではございません、肉というものがございます」
「肉! 贅沢《ぜいたく》だなあ、米のない里はないが、肉はそう簡単には求められまいぜ。だが、婆さん、肉ならばお前、持合せがあるというのかい」
「はい、それはもう不自由は致しませぬ、肥え太った美肉というわけには参りませんが……」
と
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