丈夫、後ろのはまだ二十四五の一青年、二人ともに浪士ではなく、本格の、いずれかの藩の相当以上の利《き》け者らしいのが、馬上で颯爽《さっそう》としてここへ現われて来ましたが、献上隊の一行が路傍草間に銭を拾っているのを見て、
「何だ、何をしているのだ」
「なに、天下の宝を路傍に拾っているのか」
「ほほう、銭が降ったと見えるな、近ごろはエエじゃないかで天下にお札《ふだ》が降っている、ここばかり銭が降ったか」
こんなことを言って、二人が英気凜々《えいきりんりん》として過ぎ行く後ろ姿を見ると、二人ともに、黒のゴロウの羽織に菅《すげ》の笠、いずれも丸に十の紋がついている。
献上隊の一行が、いずれも銭拾いの手を休めて、いま過ぎ去った二人の武士の後ろ影を、つくづくとながめ、
「薩摩だな」
「うむ、あれは誰だか知ってるか」
「どうも、前のは薩摩の大久保市蔵らしいぜ」
「拙者も、そう思う、そうして、あとは長州の品川弥二ではないか」
「そうだ、たしかにそれに違いないぞ、薩長の注意人物が相携えて、岩倉三位訪問と出かけるからには、一嵐ありそうだ」
「だなあ、一番、様子を見てやろうじゃないか」
「見届けて土産物
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