りせざるを得ません。
さりとて、これから突留めなければならぬのは、机竜之助の身柄よりも、むしろ問題の女賊そのものの身性《みじょう》である。これは物が物だけに、存外早く手がかりがつくだろう。大江山というは、この女性のロマンがかりで、もっと近いところに、別生活に入りつつある。そういうことが想像されるものですから、更にここでその手がかりを求めなければならぬ、けれども、この若いお内儀さんにこれ以上を求むるのは無理だ、ということをさとり、さて、翌日は結束して再び昨日の臨湖の汀《みぎわ》に来て見ると、昨日ありしところのかの木標はなく、卒都婆もありません。砂の上には供養塔を立てたその痕跡さえなく、汀の波には卒都婆を弄《もてあそ》ぶ波の群れのみ昨日に変りありません。
何者か抜き取って、木標は湖中に捨ててその行方《ゆくえ》を知らず、卒都婆は流れ流れて人の拾うものもなし。昨日まざまざと見た臨湖の景色が夢で、胆吹の夢に見たまぼろしに、かえって真実なりと欺かれる。兵馬はたよりなき感覚の幻滅を歎くことに堪えられない思いです。
四十六
机竜之助は胆吹の女王のために殺されたり、という宇津
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