ことは知らぬ荒草離々たる裾野の中に、まだ石鑿《いしのみ》のあとあざやかに並んでいる。近づいて見ると、その後ろに墓守が二人、しきりに穴掘りをしている。傍らには布で巻いた二個の棺を据えて、しきりに墓穴を掘っている。それを覗《のぞ》き込もうとすると、墓と墓との間の丈なす尾花《おばな》苅萱《かるかや》の間から、一人の女性が現われて、その覆面の中から、凄い目をして、吃《きっ》と兵馬を睨《にら》みつけて、
「ここへ来てはいけません、あなた方の来るところではありません」
その睨む眼の険しいこと、兵馬は、たしかに胆吹山の女賊の張本に相違ないと思いました。
夢うつつは、その程度、それ以上、深刻にも精細にもなりませんでしたけれども、醒《さ》めた宇津木兵馬は、怖ろしいよりも、その暗示性の容易ならぬことに心が乱れました。
かくて、いったん、破れた夢が、またあけ方まで無事に結び直されましたが、日の光、鶏の声が戸の隙から洩《も》るるを見て、兵馬は立って、一枚の雨戸を繰ると、満山の雪と見たのは僻目《ひがめ》、白いというよりは痛いほどの月の光で、まだあけたのではありません。
それから、兵馬の頭に来た、何の拠《
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