主人と思い、己《おの》れの立場を家来と思っているとしたら、それはおたがいの誤解であるばかりでなく、おたがいの不幸です、この道理が、あなたにはよくおわかりのはずです」
「毎々《つねづね》、そのように承っておりますが、それは道理だけのものでございます、誰ひとり、あなた様を、自分の同輩だと思うものがございましょう、思おうとしても思われません、それだけに備わるものがございますから。それだけ企て及ばないものがあるのでございますから」
「おたがいに身を以て解釈しなければならない、昔のままの頭を以て、今の生活をしようというは無理ですよ、わたしたちが千辛万苦をしてなりとも、異境の土になりたいというのは、今までの生活がいやだからです、その生活を土台から築き直すためには、歴史と、習慣と、恩義というようなものを負うている国では、それができないから、わざわざこうして、天涯に土を求めているのに、昔のような頭で、昔のような生活に帰るつもりなら、おおよそそれは無意義なのです、その様式をすっかり打ち直すと共に、その心持を全く入れ替えなければならない。船のうちでは、そうしようとしても許されないものがありました、こうして
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