捨て一人で欠落《かけおち》
馬鹿と言おうか臆病と言おうか
文盲滅法《めくらめっぽう》、河童《かっぱ》の屁のよな
腐った根性、譬《たと》え様なき
摺古木野郎だ、首でも縊《くく》って
死んだがよかろう
  スチャラカ チャカポコ
    スチャラカ チャカポコ

困る佐賀さん、呆《あき》れた縫《ぬい》ちゃん
下から経上《へのぼ》る平山図書さん
浅野の御隠居川勝先生
これらもやっぱり学者の生酔い
漢語交りの言葉を用いて
書附なンぞはよしてもくんねえ
机に向うて詩文の研究
山ほど書いても役には立たない
あっぱれ立派な物識《ものし》りめかして
事務策なンぞも無暗にやらかし
一《ひと》ッ廉《かど》天下の議論を述べても
社稷《しゃしょく》を助ける知恵がなければ
腐れ儒者だと孔明が言わずや
春秋左伝に通鑑綱目《つがんこうもく》
史記や漢書や元明史略《げんみんしりゃく》を
百たび見たとて千たび見たとて
生れついての馬鹿は直らぬ
鉄砲かついでピイピイドンドン
やったがましだろ
武侯の中流|呉起《ごき》が立策
七十余城を一時に落した楽毅《がっき》が行い
よくよく目をつけ考えみなせえ
野呂間《のろま》じゃ天下の助けはできない
ナポレオンでもワシントンでも
天下を治める技倆は格別
なかなか及ばぬ、勉強しなせえ
  スチャラカ チャカポコ
    チャカポコ スチャラカ

稲葉の兵六《ひょうろく》どうしたもンだよ
腰抜け仲間のよぼよぼ親爺《おやじい》
海軍総督、聞いて呆れる
敗軍相当な臆病だましい
船に乗ったら嘔吐《へど》でもするより
ほかにはなンにも働き出来まい
まだある、淀さん、川越親方
グズグズしてるとお江戸が危ねえ
四五年かかって、ようよう仕上げた
歩兵はお暇《いとま》
倹約なンぞとお為ごかしに
旗本苦しめ金納なんぞと
でかした揚句に半高《はんだか》取上げ
融通にしたるは何のためだエ
今が今まで兵士も出来ねえ
金が有っても兵士がなければ
軍《いくさ》は偖置《さてお》きなンにもできまい
かくの如くの斗※[#「霄」の「雨かんむり」に代えて「竹かんむり」、第3水準1−89−66]《としょう》の小人
集まり挙《こぞ》って政治を執る奴
内憂外患一時に起ッて
今にも知れねえ天下の累卵
これから俄《にわ》かにガヤガヤ騒いで
太鼓が廻って触《ふれ》が廻って
兵士がはいって小隊前へと
号令かけても何が何
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