も金を持っていたぞ、天下を取る奴はみんな金を持っていた。金持がキッと天下を取るというわけではないが、金のない奴には大仕事はできない。いやいや大仕事をする奴は金運というものが向いて来るものなんだ、時運が盛んで、英気が溢《あふ》れていると、苦心しなくとも金なんぞは向うから集まって来るが、落ち目になると、ある金も逃げて行くよ。
おれも貧乏だが、徳川の宗家も貧乏だよ。その傾きかかった宗家を支えて、戦争の一つもしようというには、先立つものは金だ。金だと言ったところで、生やさしいものではない。勝のおやじや、おれなんぞは、千三《せんみつ》をやっても、質草をはたいても、やりくりはつこうというものだが、宗家の台所となるとそうはいかない。天下を二つにわけて、最期《さいご》の合戦に堪えるだけの用意――それには毛唐の財布を借りなければいかないのか。
まさか、小栗だって、国というものを抵当に置いて、毛唐から借金するまでに血迷いはすまい。毛唐の力を借りて徳川を立ててみたところで、日本という国が毛唐の下風に立つようになってはおしまいだ。あの女の言うところによると、幕府の方の後ろの金方はフランス、長州薩摩の方はイ
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