、今に始めぬことだが浅どいものだ。洋学の知識というものも、畢竟《ひっきょう》ずるに、金を儲けるか儲けないかのために必要なので、それ以外には、てんであの女の頭にない。おれは洋学は嫌いで、駒井の奴はドコまでも好かない奴だが、まさか駒井だって、才取《さいと》りをするために洋学に志したのではあるまい。あの女は、金にさえなれば洋妾《ラシャメン》にもなり兼ねない女なんだから、駒井や我輩も同様に、学問そのものを利用して、大きな才取りができれば、それが専《もっぱ》ら功名だと心得ている。実にタワイないものだ、浅ましいものだ。だが、そのタワイのない、浅ましいところが、あいつの身上で、あれが、なまじい賢婦ぶりをし、烈女気取りをはじめたら、もう取るところはない。あれはあれでいいんだが、さて、これはこれでいいのか。
 今、あいつが、附けたりで口走って行ったところに、聞捨てのならないものがある。聞捨てにすべきところが、聞捨てにならない。本末も、始終も、見境のない女のことだから、その本論は憫笑すべく、その附けたりは傾聴すべしか。というのは、ああいう女が無心で受けて来る巷《ちまた》の声というやつに、案外、時代の政治が
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