縁のあるところよ。ね、そうして下さいよ、わたしが、そのように取計らってしまうわよ。それにはいいことがあるんです、この福井の御城下から、ちょっと離れたところに、あわら[#「あわら」に傍点]という誰も知らないお湯が湧くところがあるんだそうです、つい近頃、近所の人が掘り当てたけれども、土地の人だけしか知らない、それを、わたしの御贔屓《ごひいき》のいま申し上げた親分さんが、ほんの仮普請をして、ごく懇意の人だけ湯治をするように仕かけてあるんですとさ、そこを、わたしが話して一日一晩買いきってしまいますから、そうして、あなたと、しんみりと旅のお話をしたり、汗を流しきったりして、最後のお名残《なご》りということに致しましょう。これだけはお聞き下さいね、ようござんすか」
それを聞かなければ化けて出る、とも言い兼ねまじき気色に、兵馬は自分のはらが決まってここまで来ている以上、さのみ末節にかかわるべきでもないと、沈黙していました。沈黙は、つまり女の提議に無言の同意のものと受取ったから、女はまたも元気を取りもどしてはしゃぎかけました、
「ほんとに、白山白水谷の旅では、あたしがあなたに負けました、一度、あなた
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