るということに於て、はじめて成されたのだ――断然、徳川ではいかん、徳川を去らしめて、全面的な新勢力に革新をやらせなけりゃ意味を成さん、それがために、相当の摩擦を示し、たとえ多少の血を流すことがあっても、それを回避しては革新は成らぬ、血を以て歴史を彩《いろど》ることは、つとめて避けなけりゃならんが、血を流すことを回避して、革新の時機を失する不幸に比ぶれば、それはむしろ言うに足らんのだ」
四十八
これらの連中の高談放言を別にして、その晩、この月心院の一間から姿を消した机竜之助。
その格闘史としては、古今無類の七条油小路の現場へ駈けつけて、そのいずれかの一方へ助太刀《すけだち》をするかと思えばそうではない。また乱刃のあとへなり先へなり廻って、後見の気取りで逐一、その剣、太刀の音の使いわけでも聞いて甘心するつもりかと思えば、そうでもない。
この男の腕立てとして、もうそういう油の気の多いところは向かない。猫を一匹つかみ殺して、虫も殺さぬ娘を一人絶え入らせるだけの程度がせいぜいで、その前の晩か、後の晩かに、さほどの乱刃が月光の下に行われた京の天地とは……およそ方角の異っ
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