れば、誰が代るか、それをひとつ具体的に言ってみてもらいたいな」
「まず、薩摩か」
「まず、長州か」
「毛利だろう」
「島津だろう」
 この二つは動かない、誰も、それを上下したり、左右にしたりして見ることはするが、それ以外のものを加えて見ようとはしない。
 そこで、この席には、薩州論と長州論との談論の枝が出て、その枝がかんじんの話題の幹よりも大きく、広くなりそうで、長と、薩と、徳川家との関係から、関ヶ原以来の歴史にまで遡《さかのぼ》ったり、人物はドチラにいる、いや薩が断然図抜けているという者もあれば、どうして長の方が粒が揃《そろ》っているというものがある、そういうことで談論が鋭化し、感情が昂進して、せっかくの科学的も、数学的もケシ飛んで、鉄拳が飛び兼ねまじき勢いでしたが、座長格の南条がようやく取りしずめて、
「してみると、徳川幕府倒れて、新たに将軍職を襲うものがありとすれば、これは薩州か、長州かのいずれかより起る、その判断には異議はないか」
「異議がないようだ」
「だが、ここになお一つの勢力、お公家《くげ》さんにもエライのがいるぞ、中山卿だの、三条殿、死んだ姉小路――岩倉――大名ばかりを
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