なるほど、細目をあげて、しかして大綱に及ぶという帰納論法をとって見る方が、斯様《かよう》な時にはわかりが早いかも知れぬ」
「では……」
 南条が咳《せき》ばらいをして、
「いいかい、では、その落着くべきところ[#「落着くべきところ」に傍点]という命題をまず、とっつかまえて俎《まないた》にのぼす――その落着くべき筋道が幾筋もあるということを、さいぜん北山君が言ったが、単に幾筋もあるではいけない、それでは当世流行の科学的ということにならないから、幾筋なんぞとぼかさずに、五筋なら五筋、六筋なら六筋と明確に数を挙げてもらいたい、これも当世流行の数学的というやつで、つまり、昔の塵劫記《じんこうき》で行くのだ」
「そう言われると、そうだなあ、その落着くべき道というのが幾筋あるかなあ」
 正直な北山は、注文をまともに、あれかこれかと胸算用をはじめて、急には埒《らち》が明かないのを南条が突っこんで、
「胸算用はやめて、まず、頭に浮んだ一筋ずつを言って見給え、そうして、一筋ずつ抽《ひ》き出して、抽き尽した後に寄算をしてみれば容易《たやす》くしてくわしい」
「君は算者《さんじゃ》だ」
 北山は、南条の頭の
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