けのものだ、落着くということになれば、ドレかそのうちの一つに落着く」
「は、は、は」
 誰かが高らかに笑いました。
「落着くところに落着くという結論は、成るようにしか成らぬという論理と同じことなんだ、なりゆき任せに手を拱《きょう》していることができない、落着くべきところに事物を落着かせ、成るべきように国家を成らしめんがためにこそ、我々は身命を顧みず東奔西走しているのだ」
「それはまた至極同感である、同感であるというのは、感服という意味ではない、その意見も、要領を得たようで、要領を得ないことは前者と同じである、すなわち、問題は落着くべきところに物を落着かせるという、その落着くべきところはドコなんだ、成るべきように国家を成らしむという、その成らしむる究竟目的というものを、諸君ははっきりと指示ができるのか――」
 肯定と否定とを同時にして究竟問題を提出した一人の壮士、それを判者面の南条力が、
「君たちは定義を先に立てて置いて、弁証を後にするから、それで徒《いたず》らに抽象にはせて、意余りあって情が尽せないことになるのだ、冷静な逐条審議から出直して見給え、当世流行の科学的というやつで……」

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