面は、今暁、昨晩からかけてものすごい人の出入りで、ものすごい殺気が溢《あふ》れ返っていると見えたが、それも、やがて、げっそりと落ち込んだように静かになってしまったから、今朝の月心院の庫裡《くり》の光景というものは、冷たいような、寒いような、生ぬるいような、咽《む》せ返るような、名状すべからざる気分に溢れておりました。
そこへ、饅頭笠《まんじゅうがさ》に赤合羽といういでたちで大小二人の者が、突然にやって来て、溜《たまり》の前で合羽をとると、警板をカチカチと打つ。
「おう!」
と答えて中から出て来たのは、これより先、いつのまにか来着して一隅に寝ていた一人の壮士でありました。
そこで、右の三人が、例の獅噛火鉢《しがみひばち》の周囲《まわり》に取りつくと、合羽を取った大小二人の者は、南条力と、五十嵐甲子雄でありました。
「いやはや、すさまじいものを見せられた、先般の池田屋斬込みよりも、これはまた一段の修羅場《しゅらば》だ、やりもやったり!」
と三人のうち、誰からとなく、まず斯様《かよう》に口を切って、しばらく沈黙が続いたのは、つまり、三人が、おのおのまずお座つきに発すべき感歎詞が、期せずし
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