間は広いものだ、鐚に口説き落されていくらか出そうという金主が出たのだな。
帝国芸娼院というのは、前巻の終りの方(第十八巻、農奴の巻九十回)に見えていたこのおっちょこちょい[#「おっちょこちょい」に傍点]独流の名案で、この趣旨とするところは、
「拙の案ずるには、近い将来に於て『帝国芸娼院』てえのを一つでっち上げて、世間をあっ! と言わせてみてえんでございます。そもそも、設立の趣旨てやつを申し上げてみまするてえと、毛唐というやつがまだ本当の日本を認識していねえんでげす、日本人ナカナカキツイあります、刀を使う上手アリマス、人を斬る達者アリマス、勇武の国アリマス、芸事できない、芸事できない国野蛮アリマス、こう吐《ぬか》しやがるのが癪《しゃく》なんでげして、異人館なんぞへまいりまするてえとテブルの上で、毛唐の奴がよくこんな噂を吐しやがるんでげす。その度に拙は発憤を致しましてね、ばかにしなさんな、日本にもこのくらいの芸事がある――てえところをひとつ見せてやりてえんでげして――そこで、その帝国芸娼院てやつを大々的にもくろみの……日本には芸娼妓でさえ、これこれの芸術がある、遊女でさえ、高尾、薄雲なん
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