れ」
「まず御健勝、金主、一万両――宝の入船――鐚の計画、ことごとく成就《じょうじゅ》、近来のヒット――」
何か続けざまに口走って、懐ろは手一ぱいにふくらまして、てんてこ舞をはじめた眼の色が穏かでない。穏かでないと言って、こいつのことだから、寸毫《すんごう》も危険性はないことはわかっているが、何かよくよくの喜びが出来たに相違ないと思いました。
「どうした、気でも狂ったか、シルクの売込みでも、もの[#「もの」に傍点]になったか」
「どう致して、そんなんじゃあござんせん、かねて鐚《びた》が計画の芸娼院――そいつがいよいよ成立を致しましてな、さるお大尽から大枚金一万両というもの補助がつきました、金主一万両、鐚一代の大望成就《たいもうじょうじゅ》!」
ははあ、そのことでかくもてんてこ[#「てんてこ」に傍点]舞をしているのか、帝国芸娼院というのは、洋妾《ラシャメン》立国論と共に、こいつの二大名案であって、先日来て、べらべらと能書をしゃべり立てて行った。それでは誰か本気に取上げる旦那があって、たとえ一万両でも、この時節に金を出そうという好奇《ものずき》が出たのだな、時勢は時勢だというが、まだ世
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