のかと言うから、あてはないが行くと言ったら、それはよせ、上方はいかぬところだ、それより江戸へ帰るがいい、おれがついて行ってやるから、まず髪月代《かみさかやき》をしろとて、向うの髪結床へ連れて行ってさせて、そのなりでは外聞が悪いとて、きれいな浴衣をくれて、三尺手拭をくれた、しかして杖をついては埒《らち》が明かぬから、駕籠《かご》へ乗れとて、駕籠をやといて載せて、毎日毎日よく世話をしてくれた。江戸へ行ったら送ってやろうとて、府中まで連れて来たが、その晩、親方がばくちの喧嘩で大騒ぎが出来て、おれを連れた親方は国へ帰るとて、くれた単物を取り返して、木綿の古襦袢をくれて直ぐに出て行きおったから、いま一人の親方が言うには、手前はこれまで連れて来てもらったを徳にして、あしたは一人で江戸へ行くがいいとて、銭五十文ばかりくれおったが、仕方がないから、また乞食をして、ぶらぶら来て、ところは忘れたが、あるがけのところにその晩は寝たが、どういうわけか崖より下へ落ち、岩の角にきんたまを打ったが、気絶をしていたと見えて、翌日ようよう人らしくなったが、きんたまが痛んで歩くことがならなんだ。二三日過ぎると少しずつよか
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