ったから、そろそろ歩きながら貰って行ったが、箱根へかかって、きんたまが腫《は》れて膿《うみ》がしたたか出たが、がまんをして、その翌日、二子山まで歩いたが、日が暮れるからそこにその晩は寝ていたが、夜の明け方、飛脚が三度通りて、おれに言うには、手前ゆうべはここに寝たかと言う故、あい、と言ったら、強い奴だ、よく狼に食われなんだ、こんどから山へは寝るなと言って銭を百文ばかりくれた。三枚橋へ来て茶屋のわきに寝ていたら、人足が五六人来て、こぞうなぜ寝ていると言いおるから、腹が減ってならぬから寝ていると言ったら、飯を一ぱいくれた。その中に四十ぐらいの男が言うには、おれのところへ来て奉公しやれ、飯はたくさん食われるからと言う故に、一緒に行ったら小田原の城下の外の横町にて、漁師町にて喜平次という男だ。おれを内へ入れて、女房や娘に、奉公につれて来たから、可愛がってやれと言った、女房娘もやれこれと言って、飯を食えと言うから、飯を食ったらきらず[#「きらず」に傍点]飯だ、魚はたくさんあってくれた、あすよりは海へ行って船を漕《こ》げと言うから、江戸にて海へは度々《たびたび》行った故、はいはいと言っていたら、こぞ
前へ
次へ
全356ページ中315ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング