生にもよく依頼してある。なんにしても、当分は、絹糸にさわるように本人の気分をやわらかにして置かなければならない。この際に道庵先生のようなざっかけ[#「ざっかけ」に傍点]を、病人の意志に反して、傍に置くことは相当考えなければならないと、お角さんが思いました。
そこへ、取次の女中が出て来まして、
「ちょじゃまち[#「ちょじゃまち」に傍点]の先生とかおっしゃるお方が、おいでになりました」
早くも道庵が進入して来たらしい。
四十一
さて、その翌日になりますと、大谷風呂から三箇の乗物が前後して出立しました。
まんなかのは普通の四ツ手ですが、前後のは、お医者さんだけが乗るべきあんぽつ[#「あんぽつ」に傍点]です。
それに附添が三人――
これによって見ても、まんなかのお駕籠《かご》がお雪ちゃんで、前後のあんぽつ[#「あんぽつ」に傍点]に、健斎、道庵の両国手が乗込んでいることと想像ができる。
駕籠附の一人は、山城田辺から健斎国手がつれて来たおともで、他の二人は伊太夫の従者の若い者でした。
この三乗三従の一行に加うるに、お角さんが庄公を召しつれて、追分まで送ろうとい
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