味方についた。これは切っても切れない書生時代からの同学だから、どう間違っても裏切りのおそれはない。のみならず、家も旧家で、相当豊かな暮らしをしていることがわかる。道庵に一月や二月、呑ませたからといって身上にさわる家でないこともよくわかる。且つまた、職務の暇々には、自分も興味を以て畿内の名所旧蹟を歴遊してもよいということだから、こうなってみると、あえて米友やお角をたよりにする必要はない。そういうのを頼りにして出かけるよりは、この方が一層、利《き》き目《め》があると思いました。
 道庵がそう鑑定したものですから、一も二もなく健斎の招待に応ずることになりました。もうこうなってみると、本草学の研究も、貧乏祭の計画も打忘れてしまって、いざ出直しの用意にとりかかるという気早さです。

         四十

 大谷風呂の別の一間には、屏風《びょうぶ》が立て廻されて、この外に、一人のお医者さんと、女の人とがいろいろと会談をしています。
 そのお医者さんというのは、さきほどのあの中川健斎老で、もう一人の女の人というのは、ほかならぬお角さんであります。
 屏風の中で、すやすやと眠っていたらしい病人が、
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