まいません、御紹介を願いたいものです、今の時節では、紹介を得なければ、よき師に就けません」
「いや、拙者のいま話したのは、門戸を張った学者ではない、しかも、れっきとした幕府の直参《じきさん》なんだから、紹介があったとて、人に教授などの余裕はない人なんだが、あの男は、たしかに英語が出来た、あのくらい出来たのは、当時でも、今日でも、まずあるまい」
「大家ですね、御紹介が願えなければ、お名前だけでもお聞かせ下さい、大家のお名前を承って置くだけでも後学の力になりますよ」
「駒井能登守といってな、幕府の旗本で、なかなか大した家柄なんだが、学生となると我輩などと同格で勉強したものなんだ、その後、甲州勤番支配にまでなったという話は聞いたが、その後の消息が一向わからん」
 ここで意外の人から、意外の人の噂《うわさ》を聞いたものだが、この青年にとっては、意外にも、意外でないにも、駒井能登などいう名は全く初耳でありました。

         二十六

 胆吹王国の留守師団長|青嵐居士《せいらんこじ》は、何と思ったかその翌朝、馬に乗れる三人の青年を庭先近く召集しました。
 その中の二人は甲組から、一人は昨
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