さん[#「ちょうさん」に傍点]の解釈が成り立っていない、一途《いちず》にちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]と受取ってしまっている。すなわち、丁よ半よと血眼《ちまなこ》になって勝負を争ったことのためにお手入れがあって、それがために捕われてお仕置になっている、と受取る方がお角さんの頭には通りがよい。
ちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]、ちょぼいちの罪の罪たるべきことはお角さんの頭にもある。ただ、そのちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]、ちょぼいちを弄《ろう》したということのために、今日明日のうちに首がコロリというのは、ところ柄かも知れないが厳し過ぎる。まして、あの正直一方の米友が、ちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]、ちょぼいち[#「ちょぼいち」に傍点]などにひっかかる人物でないということは、お角親方が頼まれなくとも保証するところである。それがためにお角さんの激昂が一層、煽《あお》られていると見なければならぬ。
十三
お角の激昂するのを聞いていた伊太夫は、
「なるほど、そういう場合では、お前さんの気象として、じっとしていられないのも無理はない。だが、相手は何と
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