全く変な奴なんでございます、あの友という野郎は、変った野郎には相違ございませんが、ちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]をしたり、晒しにかかったりするような、気の利いたことのできる野郎じゃないのです、あいつは、天性曲ったことのできない野郎なんですが、それが間違って、晒しにかかった上に、今日明日のうちに首がコロリでは、どうあっても、このままでは済まされません、こうしている間も気が急《せ》くんでございます、あの野郎は、どう間違ったって、ちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]なんぞをする野郎じゃありません、人違いにも程があったものでございます」
お角さんの言葉によるとちょうさん[#「ちょうさん」に傍点]がちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]になっている。ちょうさん[#「ちょうさん」に傍点]の説明は前に言った通りですが、ちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]となると僅か一字の相違で、内容も形式も全く別なものになる。すなわちちょうはん[#「ちょうはん」に傍点]というのは「ばくち」の一種で、丁よ、半よと、輸贏《ゆえい》を争うことの謂《い》いなのであります。これによると、お角さんという人の頭には、ちょう
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