か、こいつに出られた日には、魚族よりは漁師の生活問題だ」
と言いながら、再応、米友の眼前に突きつけたものですから、
「ふむ、エライ奴だなア」
「ある意味から言えばエライにはエライ奴だよ、こいつが威力を振うと、日本一の大湖の魚族が根絶する!」
「うむ」
「今、京都に新撰組というのがあるが、それが、このカムルチの存在とよく似ている、いや、新撰組の存在は時勢の必要上、必ずしも悪魚の存在とは言えまいがな、あれなどはまだ正直な方だが、世間には、相当の合法的機構を備えながら、カムルチの所業をなして、世の良風美俗を害し、自由の名で横暴を行っている奴がある、そいつらの害悪たるやカムルチ以上である、たとえば……」
米友には、この浪人のかこつけて言うことがよくわからない。新撰組の存在も、それ以上の何とかも、お角さん同様、米友の耳には入らないが、ただ、
「うむ、人間の中にも、こういう奴がいるよ、こういう奴が……」
と言って、ひとり呑込みをしました。
その時、寺の玄関の方で、人のおとなうような声がしましたけれど、二人は話に油が乗って、それには気がつきませんでした。
百八十八
玄関に
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