《ひっきょう》、長浜の町の方へ帰るものに相違ない。自分としては、さし当りどこへという当てはないようなものだが、まだ、このまま胆吹へ引上げる気にはなっていない。それというのは、昨晩自分が胆吹から飛び出して来た目的というものが、まだ全く果されていないからだ。その目的というのは、例のセント・エルモの火に送られて、たしかにこの長浜の町へ入り込んでいる怪物。それから、繊々たる鴉黄《あおう》をのぞみながら、ふらりふらりと館《やかた》を浮かれ出して、これもたしかにこの長浜の町のいずれかに没入しているに相違ないところの、お銀様という暴女王のいどころを突留めて帰らなければならない。
少なくとも、今晩もう一晩は、この長浜の町の夜を、夜もすがら漁《あさ》ってみなければ胆吹に帰れない、という目的を米友は、ひそかに胸に秘めているものですから、いずれ一応はこの浪人の勧誘に応じて、あるところまではついて行き、それから先は臨機応変にごまかしてしまおう――といったようなはらでついて行きました。
釣竿をかついで、すっくすっくと先に立って行く浪人の背丈は、普通よりは甚《はなは》だ高い。ちょっと青嵐居士《せいらんこじ》と
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